Dec 31, 2014

a book

年の瀬の幸運な見つけものをここに



柚木沙弥郎 作品集 1984年 用美社


前年に開かれた個展の作品を中心としたもので
ゆったりとした構成の為、どの作品もいていきいきして見える



見返しとのコントラストも楽しい




途中紙質が変わり、柚木さんの文章とともに
蒐集したものが掲載されていたりと
一冊でいくつもの表情がある






柚木さんの作品では特に人物モチーフのものが好きなのだが
やはりこの作品集にもさまざまな人物が登場し
どの人物も飄々とした風貌ながら目 ヂカラがある




表紙に登場する人物の存在感!!


美しいものを眺めながらの年の瀬
彼等のように軽やかさと強い目ヂカラの共存を目標に掲げ
新年を迎えたいと思います


Dec 13, 2014

achikochiz




2014年12月12日12時34分、『achikochiz』なるWEB SHOPをひらきました。


古今東西アチラやコチラでこれまで見つけたものと
これから出会う愛すべきもの
日本やアジア、ヨーロッパからやってきた
古きも新しきも道具もオブジェも
一緒くたにして陳列するお店です。

皆様、何とぞご贔屓に。

お店: http://achikochiz.com
Twitter : https://twitter.com/achikochiz



店主敬白



Nov 12, 2014

green glaze

はじめての色である。





アフガニスタンの古いものだという鉢は、
緑釉の美しさと素朴なぬくもり溢れる素地との
コントラストがとてもおもしろい。


特に高台周辺の手作業の形跡は微笑ましい限り・・・。


手に入れたは良いが、なんせはじめての色なので
合わすべきもので思い悩んでいる。


と言いながら、内心とても楽しんでいるのですが・・・。


Oct 26, 2014

Česko

この1週間、愛用品と愛読書が偶然にもチェコのものであった。


愛用品はチェコ軍のパジャマシャツで、
11月を目前にしても陽射しが強い毎日、
上に下に重ねられるので重宝している。
襟裏のナンバリングも良い感じ。


パジャマだけに肌への当たりが考慮され、
チェコ特有の糸ボタンが使われているのもニクいところ。


糸ボタン以外にもガラスボタン等、チェコのボタン界は深くて広い・・・。


一方愛読書は、いとうせいこう氏の影響による
カレル・チャペックの『園芸家の十二ヶ月』の新訳本。
(訳:栗栖茜 海山社)



85年前も今と同じく園芸家はホースと格闘し
天気に一喜一憂していた様子はとても微笑ましく、
チェコも日本同様に四季があるので違和感無く読み進められる。

装丁は和田誠、挿絵はチャペックの兄ヨゼフ・チャペックによるもので、
読むのも見るのも楽しい一冊。



本によると10月は春が始まる月であり、植え付けと植え替えの月らしい。

さて、何を植えましょうか。


Oct 5, 2014

Babaghuri




Babaghuri  と名づけられた美しい石の本は2005年に清澄白河にある
ババグーリ本店で開かれた展示会の際に製作されたもの。



展示会ではこれらの美しい石がショーケースに並べられ、
会場にて手渡される虫めがねで見るという形式。

石を前に来場者それぞれがファーブルよろしく頭を上げ下げしなが
眼をこらして見る様子はなんとも楽しくて、今も鮮明に覚えている
展示会の一つである。



この本に寄せられたヨーガン・レール氏の一文がとても好きで、
氏の創造するものを見るたびにいつも思い出す。


ヨーガン・レール著 Babaghuriより抜粋

「これまで私は石を見つけ、石を愛でるために様々な場所を訪れてきた。だがどの場所も石もラタンプールとは比べものにならない。とは言えすべての場所がそれぞれ異なっており、どこへ行っても新たな種類の美に出会う歓びで有頂天になる。もっとも、その度に穏やかならぬ思い、自分を卑下したくなる思いが私の胸をよぎる。その思いとは        どうすれば新たなものが創造できるというのか、どうやってデッサンしたりデザインすればいいのか、私たちが何をしようが、いたるところの天然自然の中に存在する完璧さと美しさにはかないっこないのに。
ヨーガン・レール」



その厳しくも真摯な姿勢をずっと忘れずにいたいと思います。


Sep 20, 2014

Binding

古い雑誌、今回は日本のものを。



財団法人 郵政弘済社が発行していた「ゆうびん」という雑誌、
これは昭和28年(1953年)の1月号から12月号までが
個人によりまとめられた特別装丁版。



わざわざ自作で製本した元の持ち主はとても几帳面な方だったようで、
手間のかかる糸かがりの仕様に加え、表裏の表紙には柿渋らしきものまで
塗って仕上げるという手の凝りよう。
達筆な筆運びで書かれた名前と題字を見るだけでも
その人となりが伝わってくるようである。

雑誌の内容はというと、世界の郵便にまつわることから
当時の時事ネタまでと幅広く、これまたとても読み応えがある。





たとえば「コーヒーの花咲く国」と題されたブラジル特集は
切手と共にコルコバードのキリスト像の写真も掲載され、
ブラジル事情、コーヒーの歴史、趣味のコーヒー、
とページもようやく普及したコーヒーを中心に構成されている
(とはいえ豆をつぶす道具がスパイスグラインダーにしか見えないが…)



どの号も手描きのデザインやイラストがいきいきとしていて、
特にカットと呼ばれる小さな挿絵はバラエティに富み一冊で
様々な作風のものを見ることができる。
読者による記事やイラストの投稿も多く、
(中には学生時代の横尾忠則氏と思われるイラストも)
隅から隅まで飽きることなく堪能できる。


楽しく読み進めるほどに、自作で製本してしまうその気持ちが
とても良く理解できるのです。


Aug 31, 2014

September

初めて目にしたこれ、引札(ひきふだ)というものだそう。







引札とはいわゆるチラシ広告のことで、
どうやら中央に配されたのがその広告主の店名。
この場合は田中平(?)七商店といったところだろうか・・・。

興味深いのは新暦と旧暦が左右に分かれて印刷されており、
二十四節気や日曜表も掲載されている点。
旧暦から新暦に移行されたのは1872年だが、明治34年(1901年)の
引札にも旧暦が使用されているので、新暦が浸透するのに
かなりの時間がかかった事がうかがえる。



暦は1年を通して目に付くところに掲示されるので、
刷られた店名もおのずと目にすることとなる。
現代でもカレンダーは広告手段として使われており、
その原型が引札だったと思うとなんだか感慨深い。

外周部分にも意匠が施され、細かいところまで見どころは満載。

今よりも暦が生活に密接していた当時を想像すると、
明日から長月をむかえる背筋も引き締まるというものです。

Aug 6, 2014

Blue and Red

見慣れたものでも色が違うだけで、
別のものに見える時がある。

京都にあるファストフード店の控えめなロゴや
ルパン3世の白いジャケット姿などを目にすると、
認識して脳に伝達するまでに少々時間がかかる。


これもまた同じで、青色も赤色もグラスの色としては
珍しくないが、DURALEXとなるととても新鮮であり
同時に不思議な感覚になる。

クリアーから受ける印象とは少々異なる、とても強い色。
なので今でも棚から出すたびにしげしげと眺めてしまう。

そんな青と赤のDURALEXたちは、
夏になると自然と手に取る機会が増える。


この強い色、夏の日射しにも負けない気がするのです。

Jul 21, 2014

Dieter Rams

夏になると頻繁に登場する図録がある。

2008年に開催された
「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代
ー機能主義デザイン再考」の図録。

「Less but better」と「良いデザインの10ヶ条」
の精神に基づいてデザインされた美しいプロダクトを眺めると、
不思議と暑さを忘れる。


T 3  ポケット・トランジスタラジオ
1958年


atelier 1  ラジオ・レコードプレーヤー複合機
L 1  スピーカー
1957年


L 2  スピーカー
1958年



RT 20  中超短波ラジオ
1961年



T 52  ポータブル中長超短波ラジオ
1961年


更にはこれらのデザインの秩序がこちらの頭の中にも
リンクして、余分なものが排除され思考も整理される
という効能もある(あくまで個人の感想です)。

にしても、実はこの図録は800頁をこえるボリュームで、
興味深い寄稿やスケッチも掲載されているがゆえに
一度開くとなかなか閉じることはできない。




暑さだけでなく時間も忘れてしまうキケンな図録です。


Jul 6, 2014

Chapati

上から見るとラケットのようにも見える物体。
表面は木を継いであったり、刃物の跡も見られる。
更にまん中は磨り減って少々くぼんでいたりと、
使い込まれた形跡がうかがえる。



この謎の物体、正体はチャパティをこねる台で、
インドからはるばるやってきたもの。
そう言われると大きさも約30cmとまさにチャパティのサイズ。

今のところチャパティ用には使えていないが、
それ以外の場面で大活躍している。
食卓の中央に陣取り、時にはチーズやパンを切る台として、
またある時は土鍋、鉄鍋をしっかりと支えてくれる。

果物を載せているだけでも味わいがあって、
不思議な魅力と許容量を兼ね備えている。


 
一番の魅力は横から見た姿。
土台がちょうどカメの足のようでもあり、
頭を低くして寡黙に佇ずむその様子は、
まるで食卓の守り神の如し、なのです。


Jun 15, 2014

Shobu

またしても漆のうつわを見つけてしまった。

これまでなかなか見つけられなかったのに、
先日の酒器に続く幸運。

 
この漆器は鹿児島の工房しょうぶで製作されたもので、
自由で大胆な塗りの跡がなんとも魅力的。
美しい黒の隙間から見え隠れする朱色とのコントラストも美しい。
 
そして漆器の他に陶製のバッジも発見!
 
 
プラスティックや金属と異なる質感、インパクトのある
パターンがアクセントとなって早速重宝している。


探し回っている時に限って見つけられず、
諦めると見つかる。
 
まるでなぞなぞのようですが、こんな想定外も
モノを探す楽しみのひとつなのです。


May 25, 2014

1937

古い雑誌を集める楽しみの一つに
広告を見ることが挙げられる。

ノーマン・ロックウェルのイラストが表紙の
サタデーイブニングポスト 1937年3月20日号。


ページをめくるとタイプライターや自動車、 
おなじみのキャンベルスープなど
色んなジャンルの広告がある。



中でもこの号では電気冷蔵庫の広告が何社かあり、
特にGEの広告はカラーで見開きという豪華さ。



開いた扉の中をまぶしく見つめる人々の笑顔が、 
この時代における冷蔵庫の存在の大きさを物語っている。


ちなみに裏表紙は製粉会社ゼネラル・ミルズ社の
ブランドの一つであるベティ・クロッカーのソフタシルク
というケーキ用粉の広告。
レシピも掲載されており、 作った味が気に入らなければ
代金の2倍を返金しますよというような内容(と思われる)。



イラストもあれば写真もあり、4コマ漫画風な広告もあったりと
見ていて全く飽きない。

各国その時々の時代性を感じられるのはもちろんの事、
1ページ目からこんなインパクトのある広告に出会ったりもするので、
古い雑誌を集めるのはやめられないのです。



May 6, 2014

Urushi

ずらりと並んだ消漆の酒器。




華やかさに腰がひけてあまり縁のない漆器だが、
「ピン」ときたものは連れて帰ることにしている。

今回連れ帰ったものはシャープなかたちなのに
漆によってとろっと丸みを帯びている所が魅力で
何層にも塗り重ねられた黒色には奥行きがある。

注がれたものの温度を柔らかく伝えてくれるのは
木と漆ならではの感触。
まさに
撫でて良し、眺めて良し、飲んでさらに良し、
である。


ただし少し傾けるだけでスルりとお酒が入ってくるので、
少々キケンなうつわでもあるのです…。

Apr 12, 2014

sailor collar

セーラー襟が流行っている。
とても個人的に。



突然セーラー襟が気になりイギリス海軍の
ウールのジャケットを購入したのは冬の終わりのこと。

すると数日後、異国の地に住む友人も
フランス海軍のリネンのセーラーシャツを購入したという。

類は友を呼び、セーラー襟も友を呼ぶらしい。
早速同じものをお願いして送ってもらう。

というわけでここに並びし2枚のセーラー襟。
イギリス海軍にはしばしの休暇を、 
フランス海軍にはこれから活躍してもらう予定。

甲板で襟を立てて音を集める為のかたちだそうだが、
「人の話をちゃんと聞くように」
誰かに言われているような気がして仕方ありません。

Mar 30, 2014

Stitch

縫い目を辿るのは楽しい。





 

 
布を継ぐ際に必要に迫られ
糸が作る不思議なかたちがある。

真っ直ぐに迷いなく縫われたもの、 
穴を埋めるために丸く進むもの、
星のようなかたちに見えるもの。
 
ひと針ひと針の足跡をたどるのは
地図で道を追うのにも似ている。
 

縫い目から見える人柄や暮らしを想像すると、
布への愛着もより一層深くなるのです。 
 
 

Mar 1, 2014

PORTE DES LILAS


 
 
安野光雅さんの絵本

フランス映画「リラの門」の一場面が
モデルとして描かれている
どこかの国のある日の「蚤の市」


ガンベルトや風見鶏という珍しいものもあれば、
古書や大工道具などの生活道具、
日本の大福帳やだるまを扱っているお店もあり、
どれもこれも魅力的である。

陳列されている品々は実際の市で見る
形や種類のものばかりで、
安野さん自身あちこちの蚤の市や骨董市に
足繁く通ったに違いない



また描かれる人々の様子も愉快で、
店先で思案する人、店主と値段交渉をする人、
お酒を楽しむ人々、腹話術に夢中になる子ども、
それに混じって名画や物語の主役までもいて、
そちらを見るのにも忙しい。


登場人物に紛れて一つ一つのお店や人を
観察していたら、いつの間にか時間は過ぎ、
読み終わる頃には本物の蚤の市をぐるりと
ひと周りしたような達成感が味わえるのです。