Mar 26, 2017

Tricolore

韓国の縁起物であるキロギは水鳥を模していると言われているが、そのモチーフは鴨や雁等諸説あって詳細は定かでは無い。水鳥が多産であることや1度つがいになると一生添い遂げると伝えられている事から縁起物として現代も結婚式の儀式に使用されているらしく、確かに韓国の土産物店に行くとポップな表情とカラフルなキロギがつがいで売られている。しかしこれまで骨董店などで見かけたキロギはどちらかと言うと1羽のものが多く、更に彩色されていない無地のものが殆どだった。気になって色々調べてみると、水鳥=渡り鳥は陸・空・水を行き来する事から、あらゆる世界、あの世とこの世を繋ぐものとしても捉えられ、昔の儀式ではつがいではなく1羽のキロギが使用されていたらしい。また新旧どちらのキロギにもポジャギのような布が巻かれているものがあるが、古くは本物の水鳥を儀式に使用しており、動かないように布で胴体を包んでいた名残とのこと。


今回見つけたキロギはこれまで見た中で最もインパクトのあるシルエットでしかも赤・青・白に彩色されている。手作業の様子がそこかしこに見受けられ、剥離等が見られる表面の状態から恐らく朝鮮時代のものと思われる。ちなみにキロギで彩色されているものは貴族階級向けで、彩色のない無地のものが庶民向けなのだそうだ。




胴体部分のカクカクした直線のシルエットに対して首から頭は曲線というバランスが面白い。彩色だけではなく単純化された左右の羽模様はとても斬新で、背中部分も羽模様というよりウロコに見えるような気がしないでもない・・・。



色といい模様の描き方といい、とてもユニークで愛嬌がありますが、わずかに首を傾げている後ろ姿はなんとも哀愁を感じさせるのです。