Oct 15, 2017

And Then There Were None

アガサ・クリスティの作品「そして誰もいなくなった」には人形が重要な役どころで登場する。結末を知ってるくせに人形に降りかかる災難と展開をハラハラしながら読むのが毎回の恒例だ。

クリスティ作品では10体だったがこちらは11体、さつま人形である。
売り主の話では大名行列を模したものらしいのだが毛槍や駕籠、馬も見当たらないので完品かどうかは疑わしい。けれども一つ一つを手に取ってみると鋭い眼光とは裏腹に四角ばった姿が勇ましかったり微笑ましかったりと、あまりにも魅力的で完品かどうかはそのうちどうでもよくなってしまった。



彩色や小道具に対する細やかさとは裏腹に大切な島津家の家紋がかなりラフに見え無くもないが、それもご愛嬌。

それぞれの顔つきや装束の違いを見比べるだけでもなんと楽しいことか。中でもインパクトのあるポーズを飄々とこなす奴さんは存在感が抜群、個人的なイチオシである。

さつま人形といえば傍に犬を従えた西郷さんの「いかにも土産物」的なものを目にする事はあるがその他の種類、特にこのサイズ(9cm〜15cm)のものはとても珍しい。ひょっとすると趣味で作られた類のものかもしれないけれど、どういった経緯にせよとても丁寧に手をかけて作られている事は十分に伝わってくる。

ちなみにこのさつま人形は10月28・29日に開催されるポップアップショップ「アチコチズストア」で販売するもの。そういえば会場のまめ書房にはアガサ・クリスティのペーパーバックがディスプレイとしてさり気なく置かれていた。あの空間にこの11体が並ぶのが今からとても楽しみだ。