Dec 24, 2012

Felt

巻物は綿素材を愛用している。
季節ごとに生地の大きさや織り方の
異なるものを選べば年中使うことができ、
デニム同様取り扱いに気を遣う必要のない
ところも気の合う部分である。


しかし今日のように寒さが厳しいと
満を持して登場するものがある。







華奢な見た目に反して冬の強い味方となる
このフェルトストールは、巻いた瞬間から
空気を含み本当にとても温かい。
しかも大判なので肩まで掛けて使うことも
できるのでちょっとした上着代わりにもなる。


唯一の懸念事項はフェルトの特性上、
素材が繊細でいつも以上に気を遣うこと。

何かに引っ掛けないように、
強く引っ張りすぎないようにと
少しの緊張が必要となるが、
冷たい空気とフェルトストール、
この2つに気を引き締められるそんな日も
たまには良いと思います。


Dec 9, 2012

a box

ずっと気になりながらも、
縁のなかったものに出会えると嬉しい。


骨董市で見つけたこの葛籠は
年代等は不明だが、中に貼られた
和紙も外側の漆もとても状態が良く、
おかげで持って帰ったその日から
物入れとして活躍している。





葛籠は本体が竹で出来ており、
とても軽く頑丈で通気性がある。
また柿渋と漆が塗られている為、
防虫と抗菌の効果もあるらしい。


家具がない時代に収納道具として作られ、
その手間と時間をかける製作の過程全てが
デザインと機能性を同時に満たしていることに
改めて驚かされる。



中央に施された家紋は『三つ柏』。

残念ながら我が家とは関係のないものだが、
柏は古来より神聖な木として神事等にも
用いられていたたとのことで、
縁起物(しかも3つ!)が我が家にやってきた
と思うことで良しとしています。



Nov 25, 2012

Enzo Mari

寒くなると毎日のように食卓に
出現するやまぶき色のものがある。





Enzo Mariデザインのル・クルーゼの琺瑯鍋。


この『ママ』が発売されたのは1972年。
40年前のデザインなのに色といいかたちといい、
今見てもとてもとても新しい。

まるくどっしりとしたフォルムから出た直線の
持ち手のバランスも、短かい腕をぎゅっと
伸ばしたようにも見えておもしろい。


もちろん見た目だけでなく鍋としての機能も
十二分で、特に煮込み料理はこの鍋以外では
作る気持ちも薄らいでしまう。


あたたかみのあるこの色のおかげで、料理も
その実力以上に美味しそうな雰囲気を醸し出し、
またこの鍋自体が食卓の景色も引き立てる。

この琺瑯鍋の蓋を開けて、Ruskaのお皿に盛る、
そう考えるだけでお腹がぐうとなりそうです。



Nov 10, 2012

Pirkka

Pirkkaという名のスツール。




フィンランドの建築家でありデザイナーでもある
Ilmari Tapiovaara の作品。


座面と脚の色の違うものがよく見られるが、
これはどちらも着色のないもの。


脚部分の構造がとても美しいが、個人的には
座面中央部分の空間に掌を差し込んで持つ、、
その「運ばれ方」がとても気に入っている。

座面の高さが約32cmとスツールとしては
少々低く、人よりはモノを載せることも多いが、
その分眺める時間も多い。


セカンドハンドなので、年代等の細かいところは不明、
あちこちに染みや傷もあり、前の持ち主宅の飼い犬が
噛んだとみられる歯型も!


そんな傷や染みをいとおしく眺めていると、
これからの傷も楽しみとなります。


Oct 29, 2012

tiny 08

手になじむまで時間がかかるものは
それに比例して愛着も増すように思う。




Marimekkoの定番JOKAPOIKAの
シャツ生地で作られているバンダナ。
毎シーズン出るものではないけれど、
新色が出る度に少しずつ集めてきた。


JOKAPOIKA特有のハリのある生地感ゆえに
おろしたては少々心許ない。
けれどもしばらく使っていくうちに、少しずつ
少しずつハリの中に柔らかさが加わり、
吸水性と肌触りが良くなる。

そうなるとこのバンダナは手離せなくなる。
大きさや厚みがちょうど良いので、
拭くにも巻くにも敷くにも頼りになる。

結果、毎日選ぶのもついついこのシリーズに
偏ってしまい、いくら丈夫なシャツ生地でも
初期のものになると所々色褪せが見られるように
なってきた。
が、それはそれで良い味わいと思っている。


残念ながらfennicaでの取り扱いもここ数年無いので、
新しい仲間が加わる事はないけれど、今手元にあるものは
どんなに色褪せても、くたびれても、これからも変わらず
ずっと使い続けているだろうと思うのです。

Oct 13, 2012

Green and Reed

ヘルシンキの蚤の市。

賑やかな色柄のフィンランドデザインが
あれやこれやと店先に陳列されている。
更には商品を並べるテーブルにも、
当たり前のようにマリメッコの鮮やかな
クロスが敷いてあったりと会場は見て回る
だけでも目を楽しませる。





そんな中で目に入った淡い草色のグラス。
カイフランクがデザインしたKaltioより
一回り小さいサイズで、刻印等は一切無く
年代もいつのものかは分からない。
所々で色ムラがあったり、ガラスの表面も
微妙に波打っている事から現代のものでは
ないようだが、何よりも手に収まるこの大きさが
思いの外使い勝手があり、なにかと日々活躍
している。






もう1つはARTEKでみつけた葦のバスケット。
編みの密度が高く、重量感のある所が
日本の籠とは違う点。
すっきりとした表情と、横から見た時の
立ち上がる直線が美しい。
こちらは果物を入れるととても美味しそうに見える。



どちらもとてもシンプルでありながら
いつまでも眺めていたくなります。

Sep 23, 2012

Helsinki 03+

前回のHVITTRASKの博物館について、
各部屋の意匠があまりも凝っていたので
もう少し。


建物を裏側から、壁面の上半分は木製。


ゲゼッリウスの元住居だったカフェ・レストラン。


木製の壁面はうろこ状。




各部屋の暖炉に使われるタイルも様々。


ダミエ柄のものもあれば


シンプルなものも


建物内に配された家具類はすべて
エリエル・サーリネンのデザイン。
アール・ヌーヴォーの意匠たち。
ドアに施されたレリーフ


暖炉の小窓


木製化粧台の扉

壁と天井の境にも柄が配される




葉のようにも枝のようにも見える渦巻き。


建物のドアにも


屋外にある氷室のドアにも渦巻き





窓から見えた湖にはサウナ小屋も


エリエル・サーリネンも眺めていた
森と湖。



Sep 13, 2012

Helsinki 03


HVITTRASK(ヴィートゥレスク)へ。

ヘルシンキの中心から車で30分ほど行くと
すっかり田園風景に変わり、視界には緑が増える。




このHVITTRASK湖畔には、1900年のパリ万国博の
フィンランド館を設計した3人のフィンランド人建築家
(エリエル・サーリネン、アルマス・リンドグレン、
ヘルマン・ゲザッリウス)の住居兼仕事場があり、
3人の建築家がそれぞれ設計した住居を見る事ができる。



外観の様子。
黄色と茶のコンビ。



博物館となっている建物はエリエル・サーリネンの
住居だったもので、各部屋で見事にデザインが異なり
とても楽しい。
(その他ホテルとなっている建物はリンドグレン、
カフェ・レストランはゲゼッリウスの住居だったもの)


博物館、青が印象的なメインホール。
上半分の木造部分とのコントラストが面白い。


壁や扉の美しい青色。
「青の間」といったところでしょうか。


よくよく見ると絨毯の柄もこの建物の
シンボルマーク(三角屋根の石塔)や
HVITTRASKの文字が模様に織り込まれている。
贅沢で楽しい絨毯。



うって変わって隣の部屋は天井まで石造り。
壁や天井には有機的なパターンが描かれる
幻想的な空間。





その奥の部屋にあるステンドグラス。
同じ図柄の絵画バージョンが子供部屋にも。


フルート?を奏でる人物の服に目が釘付けになる。
素敵な柄のお洋服をお召しになっていらっしゃいます。



上階に上がりベビーベッドのある部屋。
緑がかったグレイの壁、天井と家具は白色。
大きな窓からは森と湖が。


隣に続く子供部屋。
各部屋に暖炉が配されているが、全て色とデザインが異なり、
ここは部屋全体が黄色(黄金)と白で統一されている。


まるで神殿のような柱と天井。
天井のV字模様は、Vの端と溝部分とがきっちり
繋がるように描かれているという芸の細かさ。




1階の設計事務所。
白を基調とした部屋にグレイの壁が映える。


大きな天窓からの光で部屋はとても明るい。


事務所奥にある、書斎スペースにも暖炉。


細部にまで凝りに凝ったデザインは、見る側に
驚きと発見をもたらしますが、誰よりも設計した
本人が一番楽しんでいたであろう事が、今見ても
十分に感じられる空間となっていました。




Sep 1, 2012

Helsinki 02

ヘルシンキの夏、夕暮れはパリよりも更に長く、
7月半ばのこの頃は23時ぐらいになってようやく
日が落ちる。

日本での16時から19時ぐらいまでの時間帯が
半分ぐらいの速度でゆっくりと流れる。



22時頃の海岸風景



かもめはあちらこちらに








ヘルシンキの街のあかりの主役は、
通りの中央にぶら下がる街灯と
番地を知らせる門灯。


通りの上にはいろんな形の街灯














門灯もさまざま















やわらかな光が作る美しい街のあかり









絵になります。