Mar 30, 2014

Stitch

縫い目を辿るのは楽しい。





 

 
布を継ぐ際に必要に迫られ
糸が作る不思議なかたちがある。

真っ直ぐに迷いなく縫われたもの、 
穴を埋めるために丸く進むもの、
星のようなかたちに見えるもの。
 
ひと針ひと針の足跡をたどるのは
地図で道を追うのにも似ている。
 

縫い目から見える人柄や暮らしを想像すると、
布への愛着もより一層深くなるのです。 
 
 

Mar 1, 2014

PORTE DES LILAS


 
 
安野光雅さんの絵本

フランス映画「リラの門」の一場面が
モデルとして描かれている
どこかの国のある日の「蚤の市」


ガンベルトや風見鶏という珍しいものもあれば、
古書や大工道具などの生活道具、
日本の大福帳やだるまを扱っているお店もあり、
どれもこれも魅力的である。

陳列されている品々は実際の市で見る
形や種類のものばかりで、
安野さん自身あちこちの蚤の市や骨董市に
足繁く通ったに違いない



また描かれる人々の様子も愉快で、
店先で思案する人、店主と値段交渉をする人、
お酒を楽しむ人々、腹話術に夢中になる子ども、
それに混じって名画や物語の主役までもいて、
そちらを見るのにも忙しい。


登場人物に紛れて一つ一つのお店や人を
観察していたら、いつの間にか時間は過ぎ、
読み終わる頃には本物の蚤の市をぐるりと
ひと周りしたような達成感が味わえるのです。