Jun 24, 2015

El sol y las montañas

タペストリー、ポスター、掛け時計etc.
どうやら無意識のうちに『壁もの』を集めている今日この頃。

中でもひときわ強い存在感があるのがメキシコからやってきた
プエブラ州のサン・パブリート(San Pablito)を描いている
板絵である。




サン・パブリートというとメキシコの伝統的手工芸の一つである
樹皮から作る「アマテ紙」が有名。
そのアマテ紙、スペイン帝国征服の際に一切の生産が禁じられたのだが、
山岳地帯のさらに奥深い所にサン・パブリートが位置していたために
監視の目から逃れることができ、伝統的な製法が残されたらしい。

最初はその素朴な画風が楽しくて眺めているだけだったこの板絵であるが、
いろいろ調べるうちに向こう側に見える山々の大きさや限られた土地の
区切られた畑の風景に彼らの生活ぶりもほんの少しだが感じ取れるように
なるから不思議だ。
きちんと額装したいのだけれど、良いのが思いつかないので、
今はとりあえず壁に立てかけている。


絵の上部に描かれた4羽の鳥、前回のフランスからやってきた鳥の絵
同じような箇所に同じ鳥のモチーフであるが、趣は随分異なる。
これは着色忘れなのか、はたまた敢えての無着色なのか?
(結果的に無着色で正解だと思っている)

そこはおおらかなメキシコ人に習ってあまり深くは考えないように
したいと思います。


Jun 7, 2015

Le Mont Fuji et Le Vin

浮世絵にありそうなその表紙絵には縦書きで「不二」とあった。
また横書きのフランス語も同時にその表紙にはあった。


不思議に思ってページを捲ると、そこには更に美しい世界が。





この不思議で美しい本の正体は、フランスのワイン店Nicolasのカタログ。
毎年様々なアーティスよって挿絵が施されていたもので、(挿絵入りのものは
1973年まで作られていたらしい)年代や種類ごとに細分化されたワインの
銘柄が価格と共に掲載されている。

この1950年版カタログの中表紙には、Illustrations de R.Harada とあり、
印とサインからも「原田梨白」という日本人画家によるものだと分かる。
その絵の筆運びや色遣いはどちらかというとイラストに近いような雰囲気であるが、
逆にその柔らかさがフランス語のフォントとの絶妙なバランスを保っている。
どのページも美しく、できる事なら全て掲載したい程。


原田梨白という人物については購入した古書店Books & Thingsの店主も
あれこれ調べ、幾つかの経歴は判明したものの詳しくは分からないとの事。
このカタログを受け継いだ者として、継続調査という宿題ができてしまった。

Nicolasのカタログといえば当店achikochizに素敵な品々を卸してくれている
これまた美しいNicolasカタログのカッサンドル版が掲載されていて、
それをずっと忘れられずにいたのが形を変えて叶ったという事らしい。

65年後の日本で身辺が騒がしくなっている事を原田梨白氏ご本人は
想像できただろうか?
いずれにせよ、このカタログを手にした人を感動させたのは当時も今も
変わらないとは思いますが・・・。