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Dec 24, 2017

The Wall and I

新年に向けてそろそろ壁面を入れ替えようと思い候補になるものを出してみたら結構な数の「入れ替え待ち」がある事に気がついた。いつか飾ろうと思ってその都度手に入れたものがそれなりの量になってしまっている。

絵や写真が飾られているのが自然な環境で育ったので、壁面に何も無い空間は少し苦手だ。今の家に引っ越した時もまず最初にしたのは空っぽの壁に前の部屋から持ってきたレンテン族の布(風呂敷)を飾ることで、居慣れない空間に見慣れた物が在るというのがこんなにも心強い事なのだと痛感した出来事だった。きっとそれは人によっては誰かの存在であったり家具であったり、はたまた香りや音楽であったりするのだろうけど、いずれにせよ自分の眼や身体に馴染んだものが側にあるというのは頼りになる。

広げた入れ替え待ちを前にしてみると、どれもまだ額装していない事に気付く。以前なら額装しないといけない、と焦るところだがここ最近自分が好きなものを気ままに貼ったり付けたりしているうちに額装へのこだわりもすっかりなくなってしまった。中には額装すると決めているものもあるけれノープランのものも多く、とりあえず今飾りたいものを先にピックアップしてみる。

まずは少しずつ集めているドイツのTHILO MAATSCH1900-1983)のスモールピース。シンプルだけれどもインパクトのある構図、しかも黒と金という強い組み合わせのはずなのに柔らかな印象で、そこがとても良い。



次の2枚は何年か前に奈良の空樒で購入した東泰秀さんの作品。確かジョルジョ・モランディをテーマにした企画展で、本来この作品には甲斐みのりさんのテキストが別紙で添えられている素敵な冊子なのだけれど、いつか飾りたくて冊子にせずに置いていたもの。車窓からの景色と宝物のように仕舞われた人形や小物、どちらもとても好きなテイストだ。




THILO MAATSCHの作品は初めから額装するつもりだったので早速細めの黒フレームで素っ気ないぐらいあっさりした額装をオーダーした。古い額縁も似合いそうだけれど、他の2枚とのバランスを考えて今回は新しいものにした。

直感で選んだ3枚に強引ながら新年への抱負を重ねるとすると、色んな場所に飛んでいき、色んな景色を見て、大切に感じるものを一つでも多く見つけていきたい、というところだろうか。

額装の仕上がりが今からとても楽しみだ。





Jan 23, 2017

Lewis W. Hine

昨年末、京都 三条にある古書店 Books & Thingsに代済みで取り置いていた写真集を引き取りに行った。必ず好きなものが見つかるこのお店を訪れるのはとても楽しみな事(欲しいものだらけで恐怖とも言える)なのだが、今回は少しだけ緊張も混じっていた。というのも取り置いてもらっていたのがルイス・ハイン(Lewis H. Hine 1874-1940)の作品だったからだ。

今回の作品集はオリジナルのネガを元に印刷されている12枚のポートフォリオであり、書籍の形式では無いだけに作品としっかり対峙出来るという嬉しいもの。
Books & Thingsのブログによると、これを発行した
George Eastman Museum(旧 George Eastman House)が管理しているハインの作品はネガで3,804点、プリントで6,056点にも及ぶそうで、約1万点という膨大な数字は、ハインが「社会派」や「社会改革的」な写真家と形容され、取材や調査、記録する為の手段として多くの写真を撮影していた事をまさに物語っている。それにしてもポートフォリオを収めているこのフォルダー、そっけないスタンプと数字、そしてこの台紙の色という取り合わせがとても恰好良い。

ニューヨークで教師となったハインは学校教育の一環で初めてカメラを手にし、当初はアメリカに押し寄せる移民たちをエリス島で撮影していたが、そのうちに児童福祉連盟などの依頼でスラムで暮らす移民や貧困層の暮らしを撮影するようになる。1908年に全米児童労働委員会(National Child Labor Committee)からの依頼で専属カメラマンとなり、低賃金で働かされる子どもたちとその過酷で悲惨な状況を世間に知らせる為に教師を辞してアメリカ中を旅しながら写真を撮る生活を選ぶ。しかしハインが被写体とする子どもたちの姿や劣悪な労働環境の撮影を炭坑や紡績工場などの経営者たちが快く思うはずもなく、身分や目的を偽って潜り込んだり、時には暴力や危険な目にもあったらしい。撮る方も命がけだったのだろう。
Young Messenger Boy on bicycle.c.1913.

Bowling Alley Pin Boys. 1 a.m. (1910)

このボウリング場で働く少年たちの写真には説明文があり、地下のボウリング場で毎晩働いている3人の少年たちは、ボスによって撮影現場から締め出されていた。といった内容になっている。撮影用にポーズをとっていないのでもしかすると隠し撮りのような手法で撮影されたものなのかもしれない。
ハインが撮影した数多くの働く子どもたちの写真は結果アメリカ社会に大きな衝撃を与え、児童労働禁止へと世論を動かすきっかけとなる。(過酷な労働をする子どもたちを捉えたハインの作品については、あすなろ書房から発刊されている『ちいさな労働者(KIDS AT WORK)ー写真家ルイス・ハインの目がとらえた子どもたち』に詳しく書かれています。)

全米児童労働委員会の専属カメラマンを約10年続けた後、ハインはアメリカの産業を支える男性や女性労働者のポジティブな姿をカメラに収めるようになり、1930年には当時世界一高い建物となるエンパイヤ・ステート・ビルの建設現場での撮影を始め、それらの作品は代表作「Men at Work」として刊行される。
Boiler Maker. n.d.

キャリア後半の作品はこういった大きな機械と人間との構図や地上数百メートルの高さの建設現場の梁でずらりと並んで休憩する労働者の姿など明るく力強いものが多く、技術革新と人間の能力に驚きと尊敬の念を抱きながら撮影している様子が伝わってくる。

ハイン作品に映る人々はまるで肖像画のようにこちらを見ているものが多く、特に子どもたちの真っ直ぐなその目は見るものに何かを問いかけているようで緊張を要する。
Undernourished boy in rural school in mountains of Kentucky receiving milk supplied by Red Cross. Also, Victim of Drought 1933.

Naval Reserve Training Station, Pelham Bay Park, New York. 1917.

なのでハインの作品を前にするといつも背筋がぐっと伸びる。悪い気はしないけれど。

Dec 12, 2016

CARTE POSTALE 2

アチコチズストアの開催からすっかり時が過ぎてしまい気がつけば師走。楽しかった思い出を噛みしめつつ、イベント時に購入したものをいくつか紹介したい。

主催者でありながら"A"がフランスから持ち帰ってくる品々はお客様同様に楽しみにしており、中でも@calotype_fr氏(アカウント名変更したそうです)のコレクションをまとめて見るにはフランスまで飛び立つ以外にはこの機会しかないので、昨年に引き続き今回も会期中こっそり眺めては熟考するを繰り返して最終的に2枚に絞り込む。

その1枚目がこちら。

5人の男女が野外で踊っているもので、そのシチュエーションはインパクト大。
以下"A"による解説
『これはフランスの中央山岳部オーヴェルニュ地方の伝統的な踊りの絵葉書。
https://www.youtube.com/watch?v=a0j9dTBJWWE
Wikipediaによると16世紀にヴァロワ家のマルゴがオーヴェルニュ地方を訪れた時に興味を持ってパリにもたらし、宮廷ダンスの原型となった。宮廷での舞踏会に始まり、舞台演劇、オペラ、クラシックバレエへと発展していく。宮廷の社交ダンスの原点。1913年の消印があるが撮影はもっと前のはずなので、1900年から1910年あたりの光景と思われる。
なんという衝撃の事実!映画「王妃マルゴ」の世界観とこの牧歌的な踊りを脳内で結びつけるのは至難の技だが、そもそも音楽に合わせて皆が一斉に踊るという経験が無かったならば、これはとても魅力的だったはず、まさにマルゴの知られざる偉業である。
他、シチュエーション以外にも着目したいのがそれぞれの服装。
まるで映画の1シーンのように十字架のオブジェ("A"曰くお墓ではなく村の道標のはず、との事)にもたれてバイオリンを弾いている男性と手前の男性が着ているスモック型の衣類はBiaude(ビオード)と呼ばれるもので、麻のインディゴ染めのものを野良着の上からかぶって祭りや教会の礼拝に行ったお出かけ着なのだそう。そういえば"A"のブログで紹介されていた素敵なBiaudeを唇を噛みつつ読んだ記憶が…。(前述した@calotype_fr氏のinstagramにもBiaudeのディテールが良く分かる画像あり。)男性の着るスモック型の民族衣装と言えばロシアのルバシカを始めいくつか思い浮かぶが、よくよく考えると貫頭衣に始まりトゥニカやブリオー等、男性の服飾史はスモック(チュニック)とは長い付き合いなのだと改めて思うちなみに女性陣はヨーロッパ諸国の伝統衣装で多く見られる帽子と前掛け、たっぷりギャザーをとったスカートという装い。足元は全員が木靴、フランスなのでSabot(サボ)ということになりますね。

2枚めはこちら。

VETEMENTS de TRAVAIL(作業服)と書かれた商店の看板の下で男性がポーズをとっているもの。
"A"の解説によるとパリか地方かの特定は出来ないが、撮影されたのは1905年から1913年頃のものらしい。細部を見てみると店主であろう男性が着用してしているシャツもディスプレイされているシャツもいずれも立ち襟というのがとても興味深い。と言うのも19世紀後半から襟型は立ち襟からウイングカラーに近い一部折り襟スタイルを経て、20世紀に入ると現代の襟型の原型となる折り襟が主流になる。その流れが地方や労働者階級に広がるまで少し時間がかかったのだとしても当時が立ち襟時代の末期であったのは確かなので、それを思うとなんだか感慨深い。また陳列されている他の商品にベレーやボーダーシャツが見られるのもいかにもフランスらしいところ。
この絵葉書は@calotype_fr氏が自身のコレクションをスキャンしフォトショップで傷んだ部分を半月ほどかけて全て修正したもので、限定100部。これのオリジナルは絵葉書ではなくフォトカード(carte photo)と言って、印刷ではなく、絵葉書の裏面がすでに印刷された印画紙に直接現像したものなのだそうだ。いつかオリジナルを見せてもらおうと心に決める。

そして最後にパリの地図。

これは"A"のブログに紹介されているのが元の地図で、それを"A"が紙の傷み具合までスキャンしレンズ歪み等々の修正を加え全く同じサイズで完成させたオリジナルに忠実な複製品、こちらも限定100部。(オリジナルも見せてもらったが、本当に良く出来た複製品で1944年から1947年頃のもの。"A"の仕事の細やかさには毎回感心しきりである。)ブログに書かれているように地図に載っている省庁の存在期間を調べる事でおおよその年代が分かる辺りが地図の楽しい所で、日本の古地図で馴染みの地名や橋の名前を見つけた時の喜びに似ている。更に嬉しいことにこの地図は主要な建物が立体的に描かれている種類のもので、妹尾河童さんの覗いたシリーズのファンとしては特に好きなタイプの地図だ。じっくり地図上を旅した結果、エッフェル塔とシテ島辺りの眺めが一番のお気に入り。



因みに"A"のブログでも記述があるように、この地図に使用されているGill Sansはとても好きな書体のひとつ。こうやって好きなものが自然と集まるのだなと妙に感心したのです。

Apr 18, 2016

1954

1954年が気になる。

というのも、ここ最近気になったものが偶然にも
1954年のものだったから、という単純な理由。

時代はミッドセンチュリーど真ん中、各年それぞれを
クローズアップすれば素晴らしい作品に出会うのは当然、
という事実は今回はそっと横に置かせていただきたい。

その1
SAUL LEITER "Bus, New York 1954"


ソール・ライターは1946年からカラー写真を撮り始めたそうだが
当時はまだモノクロ写真が主流の時代で、カラー写真はあくまでも
記録用という捉えられ方だったらしい。
(カラー写真なんてやめておけと当時の写真家仲間から言われたと
ソール自身も語っている)

ハーパーズ バザー等のファッション誌で活躍しつつも1981年にスタジオを
閉鎖して一線から姿を消したソール・ライター。元々自分の作品を積極的に
発表する事を好まない彼はカラー作品を始め日常的に撮り続けた多くの作品を
あくまでも個人的なものとして世に出さずにいたが、1990年代に入りのちの
ソール・ライター財団ディレクターとなるマーギット・アーブに出会った事で
その膨大なコレクションが発表されることとなる。

初期のカラー作品(1940年代〜1950年代)を集めた写真集"Early Color"が
Steidl社から出版されたのは2006年。出版に尽力されたマーギットさんには
ただただ感謝したい。
それにしてもこの写真集の装丁はデザイン、サイズバランス、質感etc.
全てにおいて完璧で、例えばこの頁のちり(表紙が内側に巻かれている部分)
の赤とバスの車体の赤のなんとも美しいこと・・・。
さすがSteidl社、表紙だけでもずっと眺めていられる。


*ちなみにSaul LeiterとSteidl社については偶然にもそれぞれを扱った
ドキュメンタリー映画が近年製作&公開されている。
『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』
『世界一美しい本を作る男 〜シュタイデルとの旅〜』


その2
GIORGIO MORANDI "Still Life 1954"


これまた愛してやまないジョルジョ・モランディの作品。
昨年末から始まった「終わりなき変奏」展を訪れた際(結局3回行ってしまった)
気づいたら何故かこの作品の前でいつも足が固まっていた。

ルイジ・ギッリに代表されるモランディのアトリエ写真を見ていると
そこには繰り返し描かれた静物画のモチーフとなる缶や壜のオブジェが
棚や床に所狭しと置かれている。しかもその中にはモランディ自身によって
色を塗られたり、オブジェ同士を接合して不思議な形にカスタマイズされたもの
もあって大変興味深い。またそれらに積もった埃は払うことを禁じられていた事や
構図の配置を正確に記録する為、無数のマーキングの跡がテーブルや紙の上に書き
残されていたこと等を知れば知るほど、繰り返し描かれた対象物との果てしない
関係性の深さに圧倒される。

余談であるが「静物画」の表記は英語では"Still Life"(動かざる生命)なのに対して
イタリア語では"natura morta"(死せる自然)とまるで違うのが面白い。
実際モランディの作品も画集によってそれぞれ表記は異なっている。
(以下、現代美術用語辞典から引用)
語源的にはゲルマン語系のstilleven(蘭)、stilleben(独)、still life(英)と、
ラテン語系のnatura morta(伊)、nature morte(仏)の2系統がある。
stilleven(直訳すれば「動かざる生命」)は17世紀中頃オランダで現れた表現であり
事物の静止性という側面を取り上げている。それに対しnatura morta(直訳すれば
「死せる自然」)は18世紀イタリアでの造語であり、当時アカデミズムにより
上位のジャンルとされていた歴史画、肖像画がnatura vivente(生きている自然)
と呼ばれていたのに対して、静物画を蔑視的にこう呼んだのである。


その3
木村伊兵衛「パリ 1954-55」


「木村伊兵衛 パリ残像」展で見たこの作品もまたもや1954年。
壁の赤と緑がまず目に飛び込んでくるが、ペンキ塗り職人の作業エプロンの
白色と梯子の存在がとても印象的な作品である。

木村伊兵衛は1954年に富士フィルムから開発されたばかりのカラーフィルムを
託され初めてパリを訪れているが、当時日本から海外へ渡航するのは容易なこと
ではなく、実際「アサヒカメラ」の編集長から「夢物語かも知れないが外国へ
行く気はないか (以下省略)」と話を持ちかけられたという文章を残している。
(『フォトアート』臨時創刊 木村伊兵衛読本 研光社 1956年 8月)
今回展示されていた当時の作品と「撮影日記」に記された言葉からは、初めて触れる
パリの空気感や人々の内面への新鮮な驚きが現れていて、試行錯誤を楽しみながら
撮影していた様子がうかがえた。

前述のソール・ライターと木村伊兵衛、それぞれが1954年にニューヨークとパリで
色を探して撮影していたと思うとそれだけで楽しくなる。もちろんボローニャでは
モランディが相変わらずオブジェと対話していたであろう。

ついでに1954年の日本での出来事も調べてみたところ、1954年2月30日は鬼太郎
(もちろんゲゲゲの鬼太郎)が墓から生まれた年なのだそうだ。

いずれにせよ1954年は特別な年号になりました。

Jan 4, 2016

CARTE POSTALE

危険なものを見つけてしまった。
昨年開催したアチコチズストアに合わせて、バイヤーAがフランスより持参した
@le_mange_disque氏のCARTE POSTALE 及び CARTE PHOTOのコレクションである。
コレクションブックを眺める事2日間、結局最初に気になった2枚を今回は選ぶ事にした。パリのメトロ周辺の様子を切り取ったものと気難しい顔をした男性達の集合写真である。
   

この2枚について@le_mange_disque氏の解説を以下に引用。
まずはメトロ周辺の風景を写したこちらから。
『これはポストカードで、1900年頃の物。Phototypie(フォトティピー)という、リトグラフに似た方法で印刷されているオフセット印刷の登場は1930年頃なので、オフセットではない。フォトティピーは500枚生産くらいで版がダメになるので、たぶん多くて2000枚くらい作られたのかも?)。現存するメトロ2番線&13番線の出口を写した物で、背景にメディカルセンター(1階が薬局、2階が歯医者、3階が助産院の看板)の建物で、しかも今も1階は薬局(!)である。』との事。

更にはバルコニーのデザインと壁のレリーフを手がかりに場所と建物まで特定してくれた。(まるで腕の良い探偵のようだ)
確かに見比べてみると店舗や看板は変われども建物自体は100年前と全く同じ。しかも後方には同じメトロの出入り口も存在している。
ヨーロッパでは100年以上前の建物は珍しくない為、こうやって古いポストカードと今の光景を探して見比べるという非常に楽しい作業が可能である為、コレクションしてしまう気持ちがとてもとても良く分かる。


さて、もう1枚の誰も微笑んでいないミステリアスな集合写真についての解説は以下の通り。
『何かの工場か工房前での従業員&管理職(いい服着てるのが管理職数名)の記念撮影で、服装の感じから察するに1910年頃だろう。これはCarte Photo(カルト・フォト。フォトのカード)という手法で作られている。ハガキ大の印画紙(表面が印画紙、裏面は字が書けるようにマットな普通紙)に、写真家が1枚1枚を手で現像したもので、フォトティピーに比べるとぐっと生産数が少ない。手間を考えると、多くて100枚ぐらいか?銀塩写真の歴史の最初期で、臭化銀を使った現像(光の具合によってはサテンぽい銀色が表面に見えるのはそのせい)。』との事。

確かにメトロ周辺のものは手触りがマットであるのに比べこちらの集合写真は光沢があり、より一層写真っぽい。それにしてもこれらが写真ではなく、ポストカード(裏面には住所欄と通信欄があり中央で線引きされている)となっているのがとても興味深い。
また商業写真では見ることのできない当時の労働者の様子がリアルに写っており、服飾の歴史的観点からも貴重なものだそうで、こういったものが映画やドラマの時代考証の資料となったり、ファッションデザイナーのアイデアソースに繋がっているのだろうと思うとそれだけでワクワクしてくる。それにしても髭率の高いこと・・・。

何はともあれCARTE POSTALEの世界はとても危険である。
一歩足を踏み入れただけでこれだけ面白いのだから、この先にはかなり楽しい世界が待ち受けているに違いない。
個人的には@le_mange_disque氏のコレクションを本にしてしまいたいぐらいなのだが、まずは次回どれを手に入れようか今からイメージトレーニングに励みたいと思います。

Apr 6, 2015

Dressing Right?

先日見かけた雑誌広告の文言『DRESSING RIGHT』を見て、
本棚をゴソゴソと。


こちらの『DRESSING RIGHT』は1978年にアメリカで発刊された
メンズファッションの指南本。

表紙を飾る男性は見事に全アイテムが柄物で、
これは本当にRightなのか?
と初めて手にした時の衝撃は忘れられない。

その中身はというと、スーツにおけるスタイルの基礎から
カジュアル(水着もあり!)までしっかりと伝統的な部分は
おさえつつ、表紙のスタイリングが示すようにやや過剰にも見える
「外した」スタイルや「崩した」着方を大いに提案するという、
いわゆる一般的な指南本とは一線を画した名著である。

クレジットにはOscar de La Renta, Brooks Brothers,
Alan Flusser等、当時を代表するブランドが名を連ね、
写真家もBRUCE WEBER, HERB RITTS等、錚々たる顔ぶれ。
(表紙はBRUCE WEBER)



STRIKING OUTと題されたページのトップには
スーツとADIDASのスーパースターの組み合わせが!
(ちなみにスーパースターは1970年に販売開始)
今では見慣れたスタイリングも1978年当時は斬新に見えたに違いない。



デニムインしたラコステのポロにニットタイの組み合わせは、
この本を購入した当時(1998年頃)に最も衝撃を受けたスタイリング。
服に対してとても自由にしてくれた1枚。



こちらは見た瞬間にBRUCE WEBERと分かる素敵なカット。
古さだとか新しさだとかを越えたところにあるもの。


著者のCHARLES HIX氏曰く
正しい着こなしとは自分自身のパーソナリティを尊重すること
だそうだ。

1978年以降、トレンドが何周したのか分からないけれど、
37年前も今も大切な部分は変わらないと教えてくれています。



Sep 3, 2011

1968-1998



L'UOMO VOGUE 1968-1998  という大判の写真集。
30周年記念で発売されるという事で、当時書店で働いていた知人に
お願いして購入。
なかなか写真集にまでお金が回らなかったあの頃に頑張って購入した
思い出もあり、以来何度も何度も眺める1冊。

中身はというと、ブルース・ウェーバー、エレン・フォン・アンワース、
アルバート・ワトソン等々、豪華な写真家達の作品。
被写体もサンローランやピカソ、マイルス・デイビス、ルー・リードの
ものもあって、ファッションと時代両方の流れを垣間見る事が出来る。

ランダムに並べられた写真からは、メンズファッションの普遍性が
強く感じられる。
トレンドがあらゆる時代のミックスとなっている昨今、どれも今の
ファッションに通ずるところが見出せて面白い。

これがレディースの30年間になると、シルエットも色も素材も
びっくりするぐらい変わるんだよなあと、見る度に他の写真集も
ひっぱり出す結末となるのです。