新年に向けてそろそろ壁面を入れ替えようと思い候補になるものを出してみたら結構な数の「入れ替え待ち」がある事に気がついた。いつか飾ろうと思ってその都度手に入れたものがそれなりの量になってしまっている。
絵や写真が飾られているのが自然な環境で育ったので、壁面に何も無い空間は少し苦手だ。今の家に引っ越した時もまず最初にしたのは空っぽの壁に前の部屋から持ってきたレンテン族の布(風呂敷)を飾ることで、居慣れない空間に見慣れた物が在るというのがこんなにも心強い事なのだと痛感した出来事だった。きっとそれは人によっては誰かの存在であったり家具であったり、はたまた香りや音楽であったりするのだろうけど、いずれにせよ自分の眼や身体に馴染んだものが側にあるというのは頼りになる。
広げた入れ替え待ちを前にしてみると、どれもまだ額装していない事に気付く。以前なら額装しないといけない、と焦るところだがここ最近自分が好きなものを気ままに貼ったり付けたりしているうちに額装へのこだわりもすっかりなくなってしまった。中には額装すると決めているものもあるけれノープランのものも多く、とりあえず今飾りたいものを先にピックアップしてみる。
まずは少しずつ集めているドイツのTHILO MAATSCH(1900-1983)のスモールピース。シンプルだけれどもインパクトのある構図、しかも黒と金という強い組み合わせのはずなのに柔らかな印象で、そこがとても良い。
次の2枚は何年か前に奈良の空樒で購入した東泰秀さんの作品。確かジョルジョ・モランディをテーマにした企画展で、本来この作品には甲斐みのりさんのテキストが別紙で添えられている素敵な冊子なのだけれど、いつか飾りたくて冊子にせずに置いていたもの。車窓からの景色と宝物のように仕舞われた人形や小物、どちらもとても好きなテイストだ。
THILO MAATSCHの作品は初めから額装するつもりだったので早速細めの黒フレームで素っ気ないぐらいあっさりした額装をオーダーした。古い額縁も似合いそうだけれど、他の2枚とのバランスを考えて今回は新しいものにした。
直感で選んだ3枚に強引ながら新年への抱負を重ねるとすると、色んな場所に飛んでいき、色んな景色を見て、大切に感じるものを一つでも多く見つけていきたい、というところだろうか。
額装の仕上がりが今からとても楽しみだ。