財団法人 郵政弘済社が発行していた「ゆうびん」という雑誌、
個人によりまとめられた特別装丁版。
手間のかかる糸かがりの仕様に加え、表裏の表紙には柿渋らしきものまで
塗って仕上げるという手の凝りよう。
隅から隅まで飽きることなく堪能できる。
達筆な筆運びで書かれた名前と題字を見るだけでも
その人となりが伝わってくるようである。
雑誌の内容はというと、世界の郵便にまつわることから
当時の時事ネタまでと幅広く、これまたとても読み応えがある。
たとえば「コーヒーの花咲く国」と題されたブラジル特集は
切手と共にコルコバードのキリスト像の写真も掲載され、
ブラジル事情、コーヒーの歴史、趣味のコーヒー、
とページもようやく普及したコーヒーを中心に構成されている。
(とはいえ豆をつぶす道具がスパイスグラインダーにしか見えないが…)
どの号も手描きのデザインやイラストがいきいきとしていて、
特にカットと呼ばれる小さな挿絵はバラエティに富み一冊で
様々な作風のものを見ることができる。
読者による記事やイラストの投稿も多く、
(中には学生時代の横尾忠則氏と思われるイラストも)
楽しく読み進めるほどに、自作で製本してしまうその気持ちが
とても良く理解できるのです。