Sep 20, 2014

Binding

古い雑誌、今回は日本のものを。



財団法人 郵政弘済社が発行していた「ゆうびん」という雑誌、
これは昭和28年(1953年)の1月号から12月号までが
個人によりまとめられた特別装丁版。



わざわざ自作で製本した元の持ち主はとても几帳面な方だったようで、
手間のかかる糸かがりの仕様に加え、表裏の表紙には柿渋らしきものまで
塗って仕上げるという手の凝りよう。
達筆な筆運びで書かれた名前と題字を見るだけでも
その人となりが伝わってくるようである。

雑誌の内容はというと、世界の郵便にまつわることから
当時の時事ネタまでと幅広く、これまたとても読み応えがある。





たとえば「コーヒーの花咲く国」と題されたブラジル特集は
切手と共にコルコバードのキリスト像の写真も掲載され、
ブラジル事情、コーヒーの歴史、趣味のコーヒー、
とページもようやく普及したコーヒーを中心に構成されている
(とはいえ豆をつぶす道具がスパイスグラインダーにしか見えないが…)



どの号も手描きのデザインやイラストがいきいきとしていて、
特にカットと呼ばれる小さな挿絵はバラエティに富み一冊で
様々な作風のものを見ることができる。
読者による記事やイラストの投稿も多く、
(中には学生時代の横尾忠則氏と思われるイラストも)
隅から隅まで飽きることなく堪能できる。


楽しく読み進めるほどに、自作で製本してしまうその気持ちが
とても良く理解できるのです。