Jul 8, 2018

Setting Free The Bears

好きな映画を順番に挙げていくと『ホテル・ニューハンプシャー』はかなり早い段階で登場する作品だ。
誰かのサクセスストーリーや感動的な実話ではないし、VFXを駆使したスペクタクル系のものでも無い。ファンタジーもブラックもごちゃ混ぜで、中には眉をしかめる場面もあるというのに時々強烈に観たくなってしまう。きっとあの独特な世界観の中で語られるある台詞が聞きたくて何度も観ているのだと思う、その場面はとても短いけれど毎回残像が頭を離れない、個人的にとても大切に思っている映画だ。
ホテル・ニューハンプシャーを取り巻く人々はどれも個性的な面々であるが、中でも熊はキーパーソン(キーアニマル?)だ。原作者であるジョン・アーヴィング作品の中でも熊は常連で、デビュー作『熊を放つ』に至ってはそのタイトルに堂々と登場しているほど。

日頃身近な熊といえば、北海道土産の定番である木彫りの置物にはじまり、パディントン、 プーさん、くまモン、ダッフィー 等など、意識しなくとも目にする機会はとても多い。それだけキャラクターとして愛されているにも関わらず、ある日森の中で実際に出会ってしまったら親しみよりも恐怖を感じてしまうに違いないなんて、人間と熊の関係もなかなか複雑だ。

さて、我が家に熊の新入りが登場した。もちろん親しみのある方の熊でイヌイットの石彫のもの。以前手に入れたものはどちらかというとデフォルメされたキャラクターっぽい風貌のものだったが、今回は小ぶりながらもリアルな後ろ姿に一目惚れした。


ラフな仕上げにも関わらず、石という素材感を超えて今にも動き出しそうだ。

後脚の裏側には作者名と思われるサイン"LUKE"が彫られている。年代はいつ頃のものかは分からないけれど、そんなに古いものでは無いような気がする。


そうこうしているうちにまた新たな熊に出会う、今度はシロクマで恐らく樹脂製のもの。オブジェというよりミニチュアトイの類いなのだろうけど、その朴訥とした表情に思わず連れて帰ってきてしまった。




シロクマといえばフランソワ・ポンポンが思い出されるが、こちらのシロクマも樹脂ならではのクリームがかった白がなかなかリアルで、夏の暑い日が似合いそう。

ジギーとグラフが放ったのは確かメガネグマだった。もし森の中でばったり出会うのがそのメガネグマ達だったら、怖がらなくても良いかもしれない。