Feb 12, 2018

It's a small world

我が家には昔からカブラの形をした小皿がある。要はカブラの白い根の部分が容れ物で葉の部分が持ち手になっている、よく見かけるタイプのものだ。その役割は主に生姜や大蒜のみじん切りを入れたり味見したりと、どちらかというと食卓よりも台所で見かけることが多い。他の小皿でも全く支障は無いのに、棚の奥にあってもわざわざ取り出すのは、カブラの小皿を使うと料理が美味しくなる気がするからかもしれない。

カブラに限らず果物や野菜の形をしたものには不思議な魅力がある。メキシコからやってきたバナナの貯金箱もその一つで、視界に入ると思わず口元が緩んでしまう。
メキシコで果物や野菜といえばペーパーマッシュ(インドやメキシコで作られる張子のようなもの)が連想されるけれど、これは陶製のもの。しかも根元が輪になっているので何処かに引っ掛けたり吊るしたりできる仕様になっているが・・・今のところその使途は不明。それにしても肝心のお金を入れる部分はかなりラフで、刃物跡もくっきりと見て取れるほどだ。

さてバナナの次はみかんの貯金箱、これは日本のもの。
表面のブツブツや(油胞というらしい)葉の具合など丁寧に作られていて日本らしい真面目さが漂う。


その他に桃とトマトとりんごも。これらはどれも貯金箱では無く、プラスチックが主流になる以前の陶製の玩具。色付けのグラデーションも美しくリアルさも増しているので、みかんの貯金箱とは年代や種類が異なるものと思われる。

日本とメキシコ、それぞれに作られた果物モチーフの貯金箱を見ていると、
言葉や気候が異なっていても人が思いつくのは同じような事であると教えてくれる。物を集める中で時々こうやってトランプゲームのように国境や時代を越えた共通項を見つけるのはとても楽しく、またしても口元が緩む。サイズ感も同じなので並べてみても違和感は全く無い。


メキシコといえばフリーダ・カーロが最初に思い浮かぶが、そういえばフリーダの作品には果物が頻繁に登場するし、彼女の最後の作品はスイカの絵だ。
スイカの貯金箱だとなかなか貯まりそうに無いので、出会える確率は低いかもしれない。