Oct 6, 2018

Catch me if you can


飛行機を身近に感じる環境で育ったので、今でもエアラインものを見るとついつい反応するのはもう逃れられない運命だと思っている。授業中、飛行機の音が聞こえる度にどの航空機が飛んでいるのか(こっそり)サインで伝達するのが小学校では流行っていたし、航空会社の種類や機体の型を沢山知っているだけで皆から一目置かれたものだ。なので今でも飛行機の音を耳にすると、自然とその姿を目で追ってしてしまう。

当時飛行機好きの仲間にはそれぞれに推しの航空会社があり、個人的なお気に入りはルフトハンザだった。ベースの濃い青色にどーんと黄色の円、その中央に左上を向いて飛ぶ鶴のマークが配されていて特に翼のデザインが格好良くてとても好きだった。同じ青×黄でもシンガポール航空のは意匠が強すぎてあまり好きではなく、シンガポール航空推しの友人とどちらが格好良いか言い合ったのを良く覚えている。またドクターイエローのように、見ると良い事があると言われていたのがタイ航空で、今考えると単に便数が少なかっただけなのだろうけど、次はどれが飛ぶのかと全校集会でも授業中でもソワソワと頭上を気にしていたものだ。

あの頃の自分にオリンピック航空について尋ねてもきっと首をかしげるだろう。何故なら当時日本にはオリンピック航空は就航しておらず、その存在すら知らなかったからだ。
あれからかなりの年月が流れ、ようやくオリンピック航空の存在を知ったのは機内食用のトレーがきっかけだった。それはメラミン素材で出来たシンプルで美しいデザインの食器なのだけれど、何よりもどれも少しだけ色がくすんでいるのが気に入っている。



このシリーズには製造元が幾つかあるようで、今回集めたものにはイギリスのDISPOWEAR社と日本のノリタケのものが存在している。

"NORITAKE JAPAN"の刻印は小さく控えめに。

こちらは"DISPOWEAR LONDON"と大々的に。

これは社名は無く"6"か"8"の刻印のみ。緑というより抹茶色なのが良い。

調べてみるとノリタケは1961年に日本で始めてメラミン食器を製造しており、その後他社に製造・販売を引き渡しているようだ。メラミン食器の材料となるメラミン樹脂自体は1938年にスイスで誕生していて、第二次世界大戦中にアメリカ海軍に使用されたのがきっかけで世界に広まったらしい。

機内用のアイテムは航空会社によって雰囲気も大きく異なり、それぞれの特徴を知るのはとても楽しい。あの頃は尾翼のマークに一喜一憂していたが、今ではその周辺に使われているあれこれにも一喜一憂しているわけだ。(11月に開催するポップアップストアではこのメラミントレーのシリーズを含め幾つかエアラインものを販売する予定です。)

もしタイムマシンがあるならば、あの頃の自分に会いに行って自慢気にこう話すだろう。
「オリンピック航空ってあるんやで。しかもマークは五輪ではなく六輪やねんで。」と。