Feb 11, 2014

Ladybear

困っている。

買い替えるつもりだった
LADYBEARが廃番になっていた。

それはとても困る。
 
 

十数年前、見たことのない赤の色に目を奪われ、
初めて手に入れた marimekko である。

デザインはもちろん、物量に関わらずおさまりが良いので
季節や服装を問わず、普段から身軽な旅行までも
これで済ませてきた。
 

おかげですっかり貫禄のある表情になり、
そろそろ隠居生活をと考えていた矢先の
悲しいお知らせ。


ものすごく困る。


ひとまず引退は撤回。
もう少しよろしくと、
ブラッシングさせていただきました。
 
 

Jan 26, 2014

Canvas and Leather

レザーシューズだと堅苦しくて、
スニーカーだとくだけすぎる。

適度な靴はないかと思っていた頭の中を
こっそりのぞいたんじゃないかと思わせる靴。




1950年代のドイツ軍のもので、
今ではすっかり定番となっている
ジャーマントレーナーの前身に
たるものなのだそう。


キャンバスのなんともいえない赤茶けた色が
野暮ったく見えて、それがまた魅力でもある。


じっくり眺めると底付けの仕様等は
当時の靴作りを見るようでおもしろいが、
さすがに60年前のソール、
返りは決して良いとは言い難く、
馴染むまでにはなかなか時間がかかりそうである。


心地よい靴に慣れてゆるんだ足元には
少々我慢と忍耐が必要になりそうだが、
足の運びに緊張を覚えつつ、
60年前に思いをはせて歩くのも
悪くはないと思う今日この頃です

Jan 5, 2014

Blue & White

我が家のあれこれで最も多い柄は縞である。

縦にしろ横にしろ縞柄にはついつい引き寄せられ、
またあちらも好みをご存知のようで
自然と手元に集まってくる。




この縞柄の布は、その跡も見られるように
細く畳んで祭りや神事に使用されていたそうで、
浅黄幕と同じ意味合いのものだと思われる。


浅葱色と白の潔い配色であるが、
所々でかすれてたり、色が滲んでいたりして
人の手を感じることができる。



清々しくて温もりのあるこの布、
1年の始まりに相応しいと思うのです。
 
 

Dec 15, 2013

Ryukyu

先日購入した沖縄の器は
白化粧のみの6寸皿である。




しかまファインアーツにて開催されていた
「琉球 松田米司作陶展 」 で出会ったもの。

今回の作陶展は沖縄の伝統的な技法と
かたちのものを制作されたとのことで
この6寸皿も19世紀の壺屋焼を再現したものだそう。
 
 
 

静かな佇まいであるからこそ、 
その力強さと繊細さがすっと入ってきて、 
ご本人の言葉にあるように沖縄のこころが
かたちに現れたとても美しい器だと思う。
 
 
 


手に取って眺めていると、いつの間にか
前のめりになっていることに気づく。
 
嬉々として器を眺めるのは毎度の事であるが、
この器の場合は頭も心もカラッポになって
ただただ吸い込まれるように見ている。
 
ひとつの色のはずなのに
たくさんの色が見えてくる、
そんな引力のある器なのです。
 
 
 
 

Nov 24, 2013

Mixed nuts

購入する言い訳の一つに
「使う場面が浮かぶ」というのがある。

服ならば手持ちの物にとても合うだとか、
調味料なら料理の味が想像できるとか。


この小皿を見た時に何故だか
ミックスナッツを載せた図が
でーんと浮かんだ。
 
チョコレートでもなく、チーズでもなく、
ミックスナッツ、である。
 

 



というわけで、老松と桶取の
演目が描かれた小皿は我が家に
いらっしゃる事となった。


実行に移してみるとミックスナッツとの
相性は予想以上で、ついつい手が伸びて
お酒も進む。
 
 

どこかコミカルにも見えてしまう登場人物、
彼らを眺めながら物語を勝手に創作するのも、
更にお酒を美味しくする手なのです。
 
 

Nov 10, 2013

Monsieur Hulot

衣替えをする。

夏前に収納した上着をまたひっぱり出す。

少しの休みしかなかったけれど、 
再びよろしくお願いしますと声をかけながら。
 




この Johanna Gullichsen の上着は、
かれこれ15年近く着ているけれど、
驚くほどに生地がへたれていない。
 

ソファの張り地や鞄にも使用されているので
当然といえば当然ではあるが、
決して優しくはなかった扱いを考えると
感心せずにはいられない。
 
 
 
こうやって吊り下げていると、
ジャック・タチ演じるユロ叔父さんが
着ていそうに見えて楽しいので、
いつもこの掛け方になってしまう。
 

存在感があるだけに、昔はこの上着に
合わせて服を選んでいたけど、
今はそんな事を考えなくてもなんとなく
サマになってきた(ような気がする)ので、
なんだかそれが少し嬉しいのです。
 
 

Oct 14, 2013

104

1972年に発行された「世界の民芸」は
浜田庄司、芹沢銈介、外村吉之介の3氏が
週刊朝日誌上において、手持ちの海外民芸品
(時には感心した柳宗理など友人の収集品も)を
それぞれが選び、解説した104点を一冊に
まとめたものである。




選ばれた民芸品の素晴らしさは勿論、その解説文から
3氏それぞれの価値観や物に対する愛情、 
人柄も感じ取れる気がして、ページをめくっては
感嘆したり、共感したりと毎回見る度いそがしい。
たとえば芹沢銈介が選んだイランのソックス


この解説の一文には
「試しにはいてみると足先がすっぽり模様に
つつまれるたのしさ、
その感触と暖かさは、ただ材質からだけでの
ものでない格別なものがある。」
というあたたかい言葉が添えられている。
104点の様々な国の様々なもの、
迫力ある写真を見ながらそれぞれの国に
思いを馳せるだけでもとても楽しい。
また芹沢銈介の装幀も素晴らしく、
表紙を外した姿も美しいのが
ものに対する著者たちの
姿勢のようにも思える。

繰り返し読んでいるあとがき
 「物を見ること持つこと」
には大切な言葉や考えが沢山詰まっていて、
自分にとっては地図のような存在。
なので、この「世界の民芸」は
いつでも手に取れる場所にある
無くてはならない本なのです。