毎日手にしながらその美しさと使い心地の良さに
思わずにんまりしてしまう、それが自分にとっての
柳宗理デザインである。
そこには美しさと機能性のどちらをも突き詰めた
最終形があり、そのデザインは決して旧くならず
また新しすぎず、普遍的な美しさがある。
毎日使うカトラリーは黒柄と刃先の境目部分の滑らかさに
思わず撫でて確認してしまうほどで、またその黒柄は
使い込むほどに木目が白く浮かびあがり、貫入のような
味わいとなる。
出西の器も素焼きと釉薬のかかった部分のコントラストが
とても美しく、何を盛ってもとても美味しそうに映える。
と、いま身近にあるものを見渡しただけでも数々の
柳宗理デザインに囲まれ暮らしている事に気づき、
またそれをとても嬉しく思う。
デザインとは?もののかたちとは?という事を根っこから
考えるきっかけを与えてくれた人であり、著書「エッセイ」は
何度も何度も繰り返し読むお守りのような本となっている。
柳宗理さんの手から新しいデザインが生み出される事は
もう叶わないけれど、これまでに創り出された素晴らしい
作品にその精神を感じつつ、これからもそのデザインと仲良く
暮らしていきたいと思います。