Aug 31, 2014

September

初めて目にしたこれ、引札(ひきふだ)というものだそう。







引札とはいわゆるチラシ広告のことで、
どうやら中央に配されたのがその広告主の店名。
この場合は田中平(?)七商店といったところだろうか・・・。

興味深いのは新暦と旧暦が左右に分かれて印刷されており、
二十四節気や日曜表も掲載されている点。
旧暦から新暦に移行されたのは1872年だが、明治34年(1901年)の
引札にも旧暦が使用されているので、新暦が浸透するのに
かなりの時間がかかった事がうかがえる。



暦は1年を通して目に付くところに掲示されるので、
刷られた店名もおのずと目にすることとなる。
現代でもカレンダーは広告手段として使われており、
その原型が引札だったと思うとなんだか感慨深い。

外周部分にも意匠が施され、細かいところまで見どころは満載。

今よりも暦が生活に密接していた当時を想像すると、
明日から長月をむかえる背筋も引き締まるというものです。

Aug 6, 2014

Blue and Red

見慣れたものでも色が違うだけで、
別のものに見える時がある。

京都にあるファストフード店の控えめなロゴや
ルパン3世の白いジャケット姿などを目にすると、
認識して脳に伝達するまでに少々時間がかかる。


これもまた同じで、青色も赤色もグラスの色としては
珍しくないが、DURALEXとなるととても新鮮であり
同時に不思議な感覚になる。

クリアーから受ける印象とは少々異なる、とても強い色。
なので今でも棚から出すたびにしげしげと眺めてしまう。

そんな青と赤のDURALEXたちは、
夏になると自然と手に取る機会が増える。


この強い色、夏の日射しにも負けない気がするのです。

Jul 21, 2014

Dieter Rams

夏になると頻繁に登場する図録がある。

2008年に開催された
「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代
ー機能主義デザイン再考」の図録。

「Less but better」と「良いデザインの10ヶ条」
の精神に基づいてデザインされた美しいプロダクトを眺めると、
不思議と暑さを忘れる。


T 3  ポケット・トランジスタラジオ
1958年


atelier 1  ラジオ・レコードプレーヤー複合機
L 1  スピーカー
1957年


L 2  スピーカー
1958年



RT 20  中超短波ラジオ
1961年



T 52  ポータブル中長超短波ラジオ
1961年


更にはこれらのデザインの秩序がこちらの頭の中にも
リンクして、余分なものが排除され思考も整理される
という効能もある(あくまで個人の感想です)。

にしても、実はこの図録は800頁をこえるボリュームで、
興味深い寄稿やスケッチも掲載されているがゆえに
一度開くとなかなか閉じることはできない。




暑さだけでなく時間も忘れてしまうキケンな図録です。


Jul 6, 2014

Chapati

上から見るとラケットのようにも見える物体。
表面は木を継いであったり、刃物の跡も見られる。
更にまん中は磨り減って少々くぼんでいたりと、
使い込まれた形跡がうかがえる。



この謎の物体、正体はチャパティをこねる台で、
インドからはるばるやってきたもの。
そう言われると大きさも約30cmとまさにチャパティのサイズ。

今のところチャパティ用には使えていないが、
それ以外の場面で大活躍している。
食卓の中央に陣取り、時にはチーズやパンを切る台として、
またある時は土鍋、鉄鍋をしっかりと支えてくれる。

果物を載せているだけでも味わいがあって、
不思議な魅力と許容量を兼ね備えている。


 
一番の魅力は横から見た姿。
土台がちょうどカメの足のようでもあり、
頭を低くして寡黙に佇ずむその様子は、
まるで食卓の守り神の如し、なのです。


Jun 15, 2014

Shobu

またしても漆のうつわを見つけてしまった。

これまでなかなか見つけられなかったのに、
先日の酒器に続く幸運。

 
この漆器は鹿児島の工房しょうぶで製作されたもので、
自由で大胆な塗りの跡がなんとも魅力的。
美しい黒の隙間から見え隠れする朱色とのコントラストも美しい。
 
そして漆器の他に陶製のバッジも発見!
 
 
プラスティックや金属と異なる質感、インパクトのある
パターンがアクセントとなって早速重宝している。


探し回っている時に限って見つけられず、
諦めると見つかる。
 
まるでなぞなぞのようですが、こんな想定外も
モノを探す楽しみのひとつなのです。


May 25, 2014

1937

古い雑誌を集める楽しみの一つに
広告を見ることが挙げられる。

ノーマン・ロックウェルのイラストが表紙の
サタデーイブニングポスト 1937年3月20日号。


ページをめくるとタイプライターや自動車、 
おなじみのキャンベルスープなど
色んなジャンルの広告がある。



中でもこの号では電気冷蔵庫の広告が何社かあり、
特にGEの広告はカラーで見開きという豪華さ。



開いた扉の中をまぶしく見つめる人々の笑顔が、 
この時代における冷蔵庫の存在の大きさを物語っている。


ちなみに裏表紙は製粉会社ゼネラル・ミルズ社の
ブランドの一つであるベティ・クロッカーのソフタシルク
というケーキ用粉の広告。
レシピも掲載されており、 作った味が気に入らなければ
代金の2倍を返金しますよというような内容(と思われる)。



イラストもあれば写真もあり、4コマ漫画風な広告もあったりと
見ていて全く飽きない。

各国その時々の時代性を感じられるのはもちろんの事、
1ページ目からこんなインパクトのある広告に出会ったりもするので、
古い雑誌を集めるのはやめられないのです。



May 6, 2014

Urushi

ずらりと並んだ消漆の酒器。




華やかさに腰がひけてあまり縁のない漆器だが、
「ピン」ときたものは連れて帰ることにしている。

今回連れ帰ったものはシャープなかたちなのに
漆によってとろっと丸みを帯びている所が魅力で
何層にも塗り重ねられた黒色には奥行きがある。

注がれたものの温度を柔らかく伝えてくれるのは
木と漆ならではの感触。
まさに
撫でて良し、眺めて良し、飲んでさらに良し、
である。


ただし少し傾けるだけでスルりとお酒が入ってくるので、
少々キケンなうつわでもあるのです…。